スタッフブログ(2022/03/23)
和不動産スタッフブログでは、投資に関する有益な情報をお届けします!
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2022/03/23 サブリーストラブル再燃
皆さんこんにちは!和不動産スタッフブログ担当です。
近頃、サブリース契約をされているお客様のご相談が増えてきました。サブリース契約は入居者がいない間も家賃保証がされるため魅力的に感じますが、安易にサブリースを締結してしまうとそれがネックとなり、思わぬ想定外を生んでしまうこともありますので注意が必要です。
今回のスタッフブログでは、サブリースの仕組みとその落とし穴についてお話ししたいと思います!
また、和不動産の不動産投資セミナーでは、不動産投資のリスクについて解説しているものも多数ございますので、「サブリース契約以外のリスクについても知りたい」と思いでしたら、ぜひご参加ください!
■サブリーストラブル再燃
「サブリース契約で失敗」というとピンとくる方が少ないかも知れませんが、サブリース契約で失敗してしまうケースは少なくなく、相談が寄せられているのも事実です。
サブリース契約は新築物件の分譲で多く、購入時に当たり前に案内されて契約される方も多いかと思います。
販売時にはサブリース契約であれば賃料が保証されているので安心だと案内されて中身を良く確認もせずに契約してしまう事も少なくないでしょう。
サブリース契約とは一体どういうものなのでしょうか?
まずはそこから説明していきます。
●サブリース契約とは?
そもそもマンションオーナーは、部屋を借りてもらわないと賃料が入ってきません。
部屋を借りる際には賃貸契約を結ぶのが普通です。これを「普通賃貸契約」と呼び、2年更新である事が殆どであるかと思います。
この契約は賃借人とオーナーの間で結ばれます。不動産屋さんが間に入ってやってくれるので分かりにくいかも知れませんが、賃借人とオーナーの二者間で結ばれているのです。
それではサブリースはどうなっているのでしょうか?
サブリース契約というのは「マスターリース契約」と「サブリース契約」の二つによって結ばれます。
オーナーとサブリース会社の間で結ばれる「マスターリース契約」、そして、サブリース会社と賃借人の間で結ばれる「サブリース契約」。これらを併せてサブリース契約と呼んでいるのです。
オーナーの視点から見ると、部屋を貸しているのはサブリース会社ということになります。このことから、部屋が空室であっても賃料が入るという仕組みになっていきます。
部屋の入居状態に関わらず、サブリース会社によって部屋はすでに借りられているのですから、人が住んでいるかどうかは関係ないのです。
サブリース契約といえど普通賃貸契約と同じく契約期間があり、更新もできます。
契約期間の定めは一般的には2年である事が多いかと思いますが、10年であったり35年であったりする事もあるかもしれません。
後述しますが、この「契約期間が長いこと」は、必ずしもオーナーの利益になるとは言えないのです。
宣伝文句としては長期一括借り上げ等と安心を謳い文句にしている事が多く見られます。
サブリース会社は基本的にオーナーから借りた部屋を転貸して利益を出します。この転貸をする際にオーナーから借りた賃料よりも高く貸すことで利益を出すのです。
一般的なサブリース契約では相場賃料の85%~90%で借り受けます。そして相場賃料で貸し出せば差益が出るため、「入居が付いている限りサブリース会社は利益が出る」のです。
空室になっても賃料を払わなければなりませんが、サブリース会社は入居のつかない部屋のサブリース契約は引き受けないことが一般的です。
例えば都心の区分マンションであれば平均入居率は98%以上にする事も難しい事じゃありません。ですので、10%程度の賃料収入が取れるのであれば数多く契約を引き受ければ利益を出していく事が出来るのです。
オーナーからすれば本来の賃料よりも利益は減ってしまう訳ですが、安定した収益を計算する事が出来ますからリスク対策に出来ます。
このようにサブリース契約にはメリットとデメリットが混在するのです。
契約内容をしっかりと理解したうえで活用すれば問題のある契約な訳でもありません。
それでは、どんな問題が生じるのか解説していきます。
>>不動産投資のメリット・デメリットは不動産投資セミナーで解説しています!●サブリース契約の落とし穴
サブリース契約で問題になりがちなのが「解約できない」というものです。
サブリース会社はオーナーにとって賃借人の立場になります。
日本では、「借地借家法」という法規定により借主の権利が保護されています。これは大家さんが不当に家賃を引き上げたり、退去を迫ったりする事を制限するために措置されたものです。
「普通賃貸契約」では基本的にオーナーは賃借人の契約更新に応じなくてはならず、正当事由なく契約解除を行う事が出来ません。
サブリース契約ではこの保護される立場がサブリース会社側であり、オーナーよりも強い立場に立つ事になるのです。
オーナーからすると、「サブリース契約は解約が出来ない」という事になってしまいます。これにより、どんな不利益がオーナーに起こるのでしょうか。
まず挙げられるのが、「賃料を上げていくことが出来ない」ということ。
サブリース契約においては、オーナーとサブリース会社が賃貸契約を結んでいます。
実際に住んでいる入居者がいくらの賃料を払っていようがオーナーに入る賃料はサブリース会社と定めた賃料だけです。賃料相場が上がるなどして入居者の賃料が上がっていっているとしてもオーナーに入る賃料は変わりません。
サブリース会社がオーナーに支払う賃料を上げるように交渉する事が建前上出来るようになっていますが、応じるケースは少ないでしょう。
それどころか「賃料が下がる」ケースもあります。
サブリース契約のほとんどは契約期間の定めの他に賃料に係る条項があり、賃料は相場に応じて見直す旨が記載されている事でしょう。
オーナーは当初いつまでも保証された賃料が支払われると思い込んでいる事がありますが、サブリース会社から支払われる賃料は下がる事があるわけです。
貸している部屋の賃料が実際に下がればサブリース会社は利益が出ないのですからオーナーから借りる賃料を下げる事で利益を出すしかありません。
オーナーは賃料を下げる事に応じるか契約をやめるかの選択を迫られる訳です。
サブリース会社からすれば、「利益の出る部屋は契約を続けて、利益の出ない部屋は値下げ交渉をすれば良い」という事になります。オーナーが応じないのであれば契約を解除すればいいだけです。
サブリース会社側が借主なのですから、契約解除はサブリース会社側に有利にできています。
普通賃貸契約でも借主が契約更新時に解約できるようにサブリース契約も解約できます。
オーナー側からの契約は自由に出来ないのですから、この点は大きく不利益であると言えるでしょう。
この辺りはサブリース会社のスタンスによりますから、会社選びが大切になってきます。
●売却にも影響が出るサブリース契約
「当初と違うな」と後悔して売却して辞めようと思っても、サブリース契約ではここでも問題になります。
売却する際、賃貸契約というのは次のオーナーに継承されるものです。
今住んでいる人は所有者が変更されても、賃料を次のオーナーに支払って住み続けます。この際賃貸契約は前所有者から新所有者に引き継がれるという事になる訳ですね。
サブリース契約の場合はどうなるでしょうか。
この契約も同じように引き継がれるという事になる訳です。
ここで問題が起こります。
例えば相場賃料10万円で貸している部屋を9万円でサブリース契約しているとします。
売り物件になった時、同じ物件で「10万円で貸せている部屋」と「9万円のサブリースの部屋」ではどちらの部屋の方が高く売れるでしょうか?
それは10万円で貸せている部屋になります。
例え相場賃料との差がそれほどないとしても、「サブリース継承」という条件が付くだけで売却時の価格は下がってしまうのです。
次に買う人にとってサブリース契約というのは障害でしかありません。有利なつもりで結んだサブリース契約ですが、あらゆる場面で足枷になるのです。
売れないとなるとサブリース契約をどうにかするしかありません。しかし、上記にあるように借地借家権によって、オーナーからの解約は容易ではありません。
解約条件に貸主側の条件記載の無い契約書もあれば、かなり厳しい解約条件が記載されている事もあります。「解約に際しては半年分の賃料を払う」等と記載がある場合もあります。
サブリース契約をやめるだけで何十万も掛かるなんて大きな損失ですよね。
それが故にサブリース契約付きの物件は評価額が著しく下がってしまうのです。
新しく物件を買う際、空室が怖いのは当然ですが、安易にサブリースという選択肢を取ってしまうと、さらなる不利益を被ることにもなりかねません。
都市部の区分マンションであれば入居で困ることはまずありませんし、入居付けで困るような物件を買ってはならないとも言えます。
サブリース会社は、「入居が付くからサブリースを引き受ける」わけですから、デメリットもよく理解して考えることが大切です。
>>不動産投資のメリット・デメリットは不動産投資セミナーで解説しています!いかがでしたでしょうか。
サブリース契約は入居者がいない間も家賃が保証されるためとても魅力的に見えますが、安易にサブリースを締結してしまうと、「解約ができない」「家賃が上げられない・下がる」「売却時の値段が下がる」等々、思わぬ想定外を生んでしまうかもしれません。
何事もよく調べてから臨みたいものですね。
今回のスタッフブログはここまで。次回もぜひご覧ください!さよなら、さよなら。