不動産投資コラム(1)
最新の不動産投資市況情報や、中古のワンルームマンションなど、
不動産投資に関するコラムをご紹介いたします。
第1回【サラリーマンの資産形成では中長期の投資を狙え】
2014年にスタートしたNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)
さまざまな調査で、資金的に余裕がないなどの理由で多くの人は投資でのリスクを避けていることが判明し、国が国民の意識を投資へ向けさせようとして2014年にスタートさせたNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)があります。
このようなことから、投資へ乗りだす人が増えましたが、投資の初心者が陥りやすい5つの落とし穴があります。
1つ目の落とし穴は、投資を一点に集中してしまうこと、2つ目の落とし穴は、投資のリスクを軽んじてしまうこと、3つ目の落とし穴は、高値を掴んでしまうこと、4つ目の落とし穴は、コストが膨らみ利回りが悪化すること、5つ目の落とし穴は、価格変動の度合いを示すボラティリティ(価格変動のこと)に影響されることです。
このような5つの落とし穴に陥ってしまう原因は、投資家であるあなたが、早く利益を得ようとする「焦り
にあります。
人生にあるさまざまなライフイベントに必要な費用や老後の生活費を稼ぐという観点から言えば、焦らず中長期の投資を狙うべきです。
預貯金の金利に依存せずに投資へ目を向ける時代になった
収入や資産に不安を抱える人が多く、現役世代40年間で投資を行い、収入を増やすことは不可欠であることは以前にもご紹介しました。ただ、投資でのリスクを避け、お金を運用しようとする人々がこれまで行なってきたことは、預貯金程度だったことが、金融広報中央委員会の2014年・家計の金融行動に関する世論調査や日本銀行の2015年・資金循環の日米欧比較によって明らかになりました。
2014年・家計の金融行動に関する世論調査によれば、預貯金、保険、有価証券といった金融資産を保有していないと回答した世帯の比率が30%を超える結果となったのです。
日本銀行の2015年・資金循環の日米欧比較のデータにある家計の資産構成によれば、家計は、現金・預金(52%)で一番多く、保険・年金準備金(25.8%)、株式・出資金(10.6%)、投資信託(5.7%)、債権(1.5%)の順になります。
これらの調査結果から、金融資産を保有していない世帯は思いのほか多く、金融資産を保有している世帯でも投資でのリスクを避ける傾向にあり、元本が保証される預貯金に依存していることがわかります。
高度成長期からバブル景気に沸いた時代までなら、生産年齢人口は増加し、一定の経済成長は見込め、年子序列で給料も上昇していくと考えられ、高金利の預金を使いコツコツ給料の一部を貯めれば、突発的な支出にも対応できました。
しかし、超低金利時代に突入し、経済成長も停滞し給料の上昇も期待できなくなり、いつリストラによって退職に追い込まれるかわかりません。
たとえ、40年間会社を勤め上げても、その後20年間、ゆとりのある生活をするための生活費が8400万円もかかり、公的年金は3000万円程度しか支給されませんので5400万円不足する訳です。
退職金が2000万円あったとしても、現役世代40年間で7万円程度の貯金を毎月しなければ賄えません。
20代や30代で、月7万円もの貯金はかなりの負担になり、生活自体が破たんしかねません。
投資初心者が陥る5つの落とし穴について
このような状況を問題視した政府は、国民の意識を投資へ向けさせようとしました。そして、2014年にスタートさせたのがNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)です。NISAの口座では、投資からの収益(毎年120万円まで)が5年間非課税になります。
NISAの口座で行なわれている投資は、投資信託と上場株式が多いそうです。
だだ、これらの投資は、預貯金のように元本保証はされていないことが多く、誰かが確実にお金を増やしてくれるという代物でもありません。
ご自分で責任をもってこれらの投資をコントロールしなければならず、投資の初心者は前項でお話ししたように「投資を一点に集中してしまう」「投資のリスクを軽んじてしまう」「高値を掴んでしまう」「コストが膨らみ利回りが悪化する」「価格変動の度合いを示すボラティリティに影響されてしまう」といった落とし穴に陥ってしまいます。
投資を一点に集中してしまう落とし穴や投資のリスクを軽んじてしまう落とし穴と対策
1つ目の落とし穴の「投資の一点集中、つまり大きな金額のお金を分散せずに、1つの投資に集中してしまい失敗することについてお話しします。
例えば、1000万円程度のお金があなたの手元にあるとします。
中古のワンルームマンションの一部屋を1000万円程度で購入し、賃貸して家賃収入を得ようとします。
ただ、マンションを購入しても、必ずしもすぐに入居者が見つかるとも限らないです。
入居者が見つかるまでは家賃収入は得られないばかりか、マンションの管理費や修繕費は、持ち主であるあなたの持ち出しになってしまいます。
このような落とし穴に陥らないようにするには、投資を分散する三分法と呼ばれる方法があります。
三分法では、資産を現金、不動産、有価証券に分けて管理します。
安全性や流動性が高い現金は収益性が低く、流動性や収益性が高い有価証券は安全性が低いです。
不動産は安全性、流動性、収益性がバランス良く保たれています。
三分法を使うと、1つの投資が不調でも、他の投資が補ってくれるという利点があります。
2つ目の落とし穴として、「投資のリスクを軽んじてしまい、高利回りに目がくらんで嘘の投資信託に騙されたり、詐欺まがいのマンションへ投資してしまったりすること
があります。
一口に投資信託といっても、さまざまな会社からさまざまな種類が提供されています。中には、嘘の高利回りを餌に投資を募るケースもあります。
若いワインや牛に投資して、将来高くなったら売却し利益を分配するファンド(投資信託)が問題になったことは記憶に新しいです。
不動産でも詐欺まがいの方法でマンションを売る業者は存在します。
例えば、現在入居者がいるマンションを販売する業者がいます。
その業者は、入居者が現在いる訳ですから、現時点での空室のリスクはありませんし、家賃の値段も高く高利回りだとあなたにすすめます。
ただ、入居者はいつ退去するかは未定であり、家賃も入居者とグルになれば高額に見せることも可能です。
こういったマンションを購入してしまうと、数カ月後には入居者は退去してしまい、同額の家賃で新しい入居者を募集しても決まりません。
購入する前に「家賃が適正なのか?」しっかり確認する必要もあります。
他の投資に比べ、極端に高利回りの投資は疑ってみるべきなのです。
お付き合いする不動産会社の実績などはしっかり調べましょう。わからない場合、メディアに取り上げられているかを確認することも方法の一つです。メディアは、コンプライアンス対策をしっかりしているので、掲載するにあたりその企業をかなり調べています。そういったやり方で業者を判別することも方法の一つです。
高値を掴んでしまう落とし穴やコストが膨らみ収益が悪化する落とし穴と対策
3つ目の落とし穴は、高値を掴んでしまうことで、過熱して価格が上昇している投資信託に投資してしまい、結局低い利回りになってしまいます。利回りとは、例えば100万円投資して5万円の利益があるとすると利回りは5%となります。
同じ5万円の利益があっても120万円投資してしまうと利回りは約4.2%となって下がってしまいます。
投資信託が保有する株式や債券等の値動きによって、投資信託の価格が変動しますから、過熱して価格が高くなっている投資信託に投資してしまうと利回りは下がってしまいます。
このような落とし穴に陥らないようにするためには積立投資を利用することです。
投資信託の価格は高い時もあれば安い時もありますので、少しずつ投資することで、長期に考えれば平均的な値段で購入できたことになります。
4つ目の落とし穴は、コストが膨らみ利回りが悪化することです。
例えば、コストとは投資商品であれば手数料や税、不動産投資であれば、管理費、修繕積立費、管理代行手数料、固定資産税などで、これらのコストを考えない表面利回りだけを追及して実質利回りが悪化してしまうことです。
利益から、前述のコストを引いて算出した実質利回りをもとに計画を立てましょう。
価格変動の度合いを示すボラティリティの落とし穴と対策
5つ目の落とし穴は、価格変動の度合いを示すボラティリティに影響されてしまうことです。投資にはキャピタルゲインとインカムゲインという言葉があります。
キャピタルゲインとは、不動産や株、投資信託を売却することで得られる利益です。
インカムゲインとは不動産であれば家賃収入や賃借料など、株であれば配当金、投資信託であれば分配金といった利益です。
不動産や株、投資信託の価格は変動しますで、ボラティリティが高いとキャピタルゲインを狙いつい売却に転じてしまいます。
不動産や株、投資信託を売却してしまうと、また購入しなければならず、これを繰り返し続けることで、いつかは大きな損益を被る落とし穴が待っています。
このような落とし穴に陥らないようにインカムゲインを狙いましょう。
焦らないで中長期の投資を考えるべき
これまでご紹介した5つの落とし穴に陥ってしまう大きな原因は、投資家の「焦りです。
投資を一点に集中し、表面利回りだけを考えたり、高利回りやキャピタルゲインを狙ったりするのは、早く利益を得ようとする投資家の焦りそのものです。
投資で生計を立てている方なら別ですが、人生のイベントに必要な費用や老後の生活費を稼ぐという観点からいえば、中長期の投資を考える方がリスクも抑えられよりベターな方法なのではないでしょうか。