不動産投資コラム(60)
最新の不動産投資市況情報や、中古のワンルームマンションなど、
不動産投資に関するコラムをご紹介いたします。
第60回【不動産投資で法人化する2大メリット】
不動産投資を拡大するなら法人化が有利 その2大メリットとは
不動産投資家が法人となれば、節税が実現でき、融資の審査も通りやすくなる2つのメリットがあります。
不動産投資を進めていくと、節税面において、ある一定の所得水準を超えた段階でサラリーマン個人から法人化する方が有利になります。この目安は、サラリーマンの給与と不動産投資の収入を合わせて1,000万円以上になるレベルです。
現在、日本国内では「個人は増税、法人は減税」という税制改革の傾向が続いています。
所得1,000万円を境に、法人化した方が納税額を抑える事ができて節税が実現します。
法人になるには、手続きや費用などが発生しますが、それらの手間やコストはさほど面倒なものではありません。
法人化をすれば、その後の不動産経営は、毎年決算報告書を作成して公表するといったわずらわしさもありますが、税理士といった専門家に安価で委託することもできますし、会社という形で財務状況を明確にすることで、銀行からの評価も高くなり、新しい融資が受けやすくなります。
メリットその1 - 節税 -
会社員として不動産投資を行い得た収入は、会社からの給与収入と合算されて課税されています。
所得税は「累進課税」で、所得額が多ければ多いほど税率が高くなる仕組みになっています。
所得金額が900~1,800万円以下のレベルで、税率は33%、1,800~4,000万円以下では40%にもなっています。
法人化して不動産投資を行えば、不動産経営の収入は「法人税」を支払うことになります。
法人の形態にもよりますが、中小法人なら年800万円以下の収入に対しては15%、それ以上は25.5%です (注:平成27年3月31日までに開始した場合)。
所得の目安は会社員の給与と不動産経営の収入を合算して1,000万円以上が法人化移行の目安ですが、法人となれば、それまで個人で所有していた物件の家賃収入や経費については、法人として購入した物件の収支と別に処理をしなければなりません。
このため、投資規模や目標とする収益によって、法人を立ち上げるタイミングには個人差があります。
節税面における法人化のメリットは、この他にも次のようなものがあります。
まず個人の場合は、事業用不動産の売却で損が出ても給与所得から差し引くことはできませんが、法人になれば、他の事業の利益と相殺できるため、課税所得が少なくなり節税につなげることができます。
また建物の減価償却においても、個人なら耐用期間全般に渡って定期的に計上しなければなりませんが、法人なら法定の償却限度額までの範囲で任意に償却ができるメリットがあります。
毎年の利益額に応じて、償却額を調節できるので節税につながります。この他にも、法人所有の不動産については相続税がかからないメリットがあります。
メリット その2 - 融資の受けやすさ -
個人として不動産投資を続けていれば、融資残額が徐々に多くなります。
残債額が多ければ、次に物件を購入しようと思ってもリスクが高い人とみなされて、融資が下りないことがあります。
個人の不動産投資家は、物件数に比例して融資の審査基準も厳しくなり、融資が思うように受けられずに投資活動が行き詰ってしまう時がやってきます。
このハードルを乗り越えるのが法人化です。
法人となれば、個人とは違った厳しい財務ルールに基づき会計管理を行うことになります。
株式会社を設立すれば、毎年決算報告書も作成しなければならなくなります。
会社設立の手間や費用もかかりますが、安いコストで税理士や弁護士に業務を委託することもできるようになっています。
会社を設立し、順調に不動産経営を続けることができれば、財務内容の信頼性も高まり金融機関からの評価も高くなり融資を受けられるチャンスも増えてきます。
個人としてではなく、不動産賃貸業者としての評価が高まれば、一般企業が利用するプロパーローンへ融資の申し込みを行えるようになります。