不動産投資コラム(63)
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第63回【大規模修繕をすべきタイミングと代表的な修繕内容】
大規模修繕の内容や利回り、税金対策等を総合的に考えて判断する
マンションやアパート1棟を所有していれば、外壁塗装や屋上防水工事、玄関や廊下、階段といった共有部分の大規模修繕が定期的に必要になります。
建物の規模にもよりますが、コストがかかるため、その実施時期や内容については慎重に検討しなければなりません。
不動産投資家の立場からすれば、このような大規模修繕は利回りの低下につながるため効率が悪い投資となります。
ただし、大規模修繕を行うことで物件の価値が高まると判断できれば資産計上することもあります。この場合、資産計上されたものは減価償却費にすることができます。
大規模修繕を実施すれば、部屋の魅力度がアップし入居率の向上につながるメリットもありますが、その費用をまかなうために家賃の値上げをすることは実際には難しい面もあります。
物件の付加価値を高めるメリットと経費処理や税金対策の両面から、大規模修繕の内容や実施時期を検討してください。
大規模修繕の内容やその費用について
マンションやアパートのような集合住宅における大規模修繕には次のようなものがあります。
(1) 外壁塗装
足場を組み、外壁の高圧洗浄を行ってから壁の塗り替えを行います。通常10~15年周期ですべきと考えられています。
内容別に耐用期間と費用の目安を紹介します。
○アクリル塗装 6年 @1400円/㎡
○ウレタン塗装 10年 @1600円/㎡
○シリコン塗装 15年 @2000円/㎡
○フッ素塗装 20年 @3000/㎡
(2) 屋上防水 RC住宅やビルでよく用いられている工法は以下のようになります。
○ウレタン塗膜防水
複雑な形状にでも施行しやすいため需要があります。5~6年ごとに最上位の塗膜を再塗装すれば15年ほど防水性を保つことができます。
15年経過後も防水層の全面撤去の必要がないことから工事費がかからないメリットがあります。
○シート防水(密着工法)(絶縁工法)
伸縮性に富み、建物の収縮にも強いのが特徴です。防水材がシート形状のため、つなぎ目が重なりやすく下地が平らな方が施工しやすくなっています。
シートが劣化すれば、すべて撤去し交換するためコストが割高になります。このためトラブルが発生する前に定期的に補修工事をする必要があります。
防水層を下地に密着させない方法を「絶縁工法」と呼び、防水層が下地に完全密着している工法を密着工法といいます。
シート防水ではどちらの工法でも、最初のうちに工事に不要なものは移動させておき、高圧洗浄をした後、取れなかった付着物を除去します。
そして建物の設置面にプライマー(接着剤)を塗り、シートを貼り付けていく流れで作業を行います。
最後に、ローラーでウレタン樹脂を塗ります。
(3) 下地補修工事・タイル補修工事
建物本体やコンクリートのひび割れや鉄筋爆裂、欠損、浮きなどを部分的に補修することです。
破損した部分を削るなどして整えた後、錆防止のプライマーを塗り、その後モルタルを充填します。
タイルはひび割れた部分をはがした後、新しいものに取替え、既存と同じ色の目地材を詰めます。
共用部分のリニューアルは物件の印象を高める効果も
経年劣化に伴い、玄関や廊下の塗装も印象が悪くなり、ポストもキズや汚れが目立つようになります。
これらは、住んでいる人たちにとっては、特にトラブルになるものではありませんが、塗装を塗り替えたり、設備を交換することは、物件を見学に来た人たちの好感度を高めるメリットがあります。
宅配ボックス、カラーテレビモニタホンなどの設備は、時代と共にその機能もどんどん進化しています。
最新型のものが玄関付近に設備されていることは、居住者には安心感をもたらす可能性も高くなります。
思ったほどコストがかからない、便利な設備もたくさん登場しているので、情報収集を行い、住む人たちのニーズの把握に努めながら新しい設備との交換を進めていってください。