不動産投資コラム(64)
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第64回【不動産を売却する際に仲介会社と結ぶ売却契約3種類】
不動産を売却する時の仲介会社との契約
不動産を売却する際には、仲介会社を通じて販売をします。
仲介会社とはあらかじめ売却に関する契約を結びますが、その形態は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類の中からオーナー様が選びます。
3種類の売却契約には、それぞれにメリットやデメリットがあります。
「一般媒介」ではオーナー様が複数の不動産仲介会社に売却を依頼できます。
「専任媒介」と「専属専任媒介」は、1社のみに売却を依頼しますが、もしオーナー様が自分で売却先を見つけた場合、専任媒介では直接売却ができますが、専属専任媒介では、その場合でも必ず仲介会社を通じて売却を行います。
不動産会社にとっては、専属専任媒介で売却契約を結ぶ方が、売却のための営業経費をかけても他社に売却契約を取られる心配がないメリットがあります。
ただし契約をした不動産会社は、早く販売先を探すために物件価格の値下げを要請することがあります。
一般媒介契約では、複数の会社に依頼ができるので、物件情報が普及しやすい反面、個々の不動産会社においては、あまり優先的にその物件を販売しないこともあります。
どちらの契約形態をとるかはオーナー様の判断ですが、物件をより高値で売却するためには、契約形態にこだわるより、空室をなくす、減らすといった物件の価値を高めておくことの方が大切です。
どの不動産会社と契約を結ぶかを考える時は、さまざまな不動産会社と交渉をしなければなりませんが、インターネットを使って複数の不動産会社に対して査定をしてもらうなどして絞り込みをするようにしてください。
それぞれの契約の特徴や違い
「一般媒介契約」では、複数の会社と契約すれば、その会社の名前を明らかにしなければなりません。
それをせず、もし明示していない仲介会社が売却契約を成立させれば、他社に営業経費などの費用を支払う必要があります。
「専任媒介契約」では、契約中に他社が媒介して売却契約が成立すれば違約金が発生します。
またオーナー様本人が自分で買主を見つけた場合、営業経費などの費用を支払う必要があります。
専任媒介契約を結んだ不動産会社は、2週間に1回以上の状況報告を売主にしなければなりません。
「専属専任媒介契約」では、オーナー様が買主を見つけた場合でも直接成約できず、不動産会社経由で売却契約を締結します。
オーナー様が次の買主と直接契約したり、他社がそれを行った場合は違約金が発生します。
専属専任媒介契約を結んだ不動産会社は、オーナー様に対して1週間に1回以上の報告義務があります。
3つの契約形態は、全て契約期間が3カ月間となっていますが、オーナー様の申し出により延長することができます。
不動産会社が「専属専任媒介」契約を希望する理由
一般的に、売却依頼を受ける不動産会社では、「専属専任媒介」契約をすすめてきます。
そのため不動産会社によっては、「専属専任媒介」契約をすれば、もし売却先がみつからない場合でも、買い取りをしてくれるところもあります。
不動産会社が「専属専任媒介」を好む理由は、他社に契約を奪われる心配がないからだけでなく、不動産会社が、1つの物件に対して、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができるためです。
一般的に、不動産の売却依頼から契約成立まで進むのは半分以下と言われています。
不動産会社にとっては、物件を販売するための広告費や営業マンの人件費、そして契約が成立しても登記手配や住宅ローンの手続きのサポートなどたくさんの経費が必要なので、1件の販売で売主、買主双方から手数料を受け取る「両手」の取り引きを望んでいるのです。
なお、仲介手数料の上限は宅建業法で売却価格に応じてその割合が定められています。
●200万円以下
物件価格×5%+8%の消費税
●200万円以上400万円以下
物件価格×4%+8%の消費税
●400万円以上
物件価格3%+8%の消費税