不動産投資 失敗事例 (その5)

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失敗事例 ~その5~ |
次の相談です。不動産投資として新築ワンルームマンションを購入したけれど、収支はマイナスという事例です。
新築ワンルームマンションの場合、メリットがある人は限られています。
年収1800万円以上の人はメリットがあります。それは節税効果が一番大きいからです。実際に現役時代は節税効果で持ち、定年退職のタイミングで売却するか、ローンを一括返済してその後の収入源として不動産を所有するなどしております。毎月の負担が数千円で、節税額が年間に百万円を超える方もいらっしゃいますので、こういったケースはメリットがあるといえます。ただし、こうした節税効果は普通のサラリーマンはほとんど関係ありません。
なぜ新築ワンルームマンションがいけないのか。もともとのプラン設計がプラスにならない計画がほとんどだからです。最近のケースだとよくてトントン、悪い場合はマイナス2万円、3万円のプランもよく目にします。所有した途端にそういったプラン設計ですと、のちに後悔することになります。なぜなら、新築ワンルームは、家賃の値下がり率が大きいからです。最初は当然新築プレミアムが付きますので、高い家賃設定が可能になりますが、次の入居者からは中古ワンルームになりますので、家賃も中古ワンルームの相場に落ち着きます。そうなると賃料が下がるケースが多く、「最初のプランの負担」+「家賃が下落した分の負担」が、毎月のコストになります。
一方、中古ワンルームマンションは途中から購入するために、すでに家賃が下落しています。ですから、その後の家賃下落幅は数%以内に抑えることが可能です。
例えば、新築ワンルームマンションを35年ローンで購入したときの毎月の持ち出しが1万円と計算すると、このような物件では35年間合計して420万円も持ち出す計算となります。さらに家賃が下がり、毎月の負担が増えることは十分に考えられます。
現在新築ワンルームマンションを購入している高齢者も増えているようです。その主な目的は相続対策です。子供に綺麗なマンションを持ってもらうことが目的ですから、価格はあまり関係ないのかもしれません。こうした人たちは相続税対策さえできればいいわけですから、毎月の収支とは関係なく投資しているのです。
つまり新築を買う方は、相続対策・節税対策がポイントで購入していますので、節税が目的でない方は赤字になる可能性が高い投資はしない方が得策でしょう。
