FPコラム【伊藤潤平 第2回】

ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【伊藤潤平 第2回】FXトレード失敗談(2)
こんにちは、FPの伊藤潤平です。前回はFXの仕組みを中心に書きましたが、今度は具体的なFXトレードの失敗談についてお伝えします。
2009年3月より11月の期間で実際にあったAさんの失敗例について、投資金額はわかりやすい金額に変えて一番下の表にまとめております。2009年はリーマンショック直後に一旦景気が回復した1年で、特に豪ドル/円は著しく上昇しました。
★☆★☆★☆★☆★≪AさんのFX体験談≫★☆★☆★☆★☆★☆

Aさんはこの年にFX口座を開設して50万円の投資資金で取引を始めました。すると利益が上がったので100万、150万と増額していき、購入Lot数も減らすことなく着実に増やしていきました。この間は利益しか目に入っていなかったのでしょう。レバレッジがどんどん大きくなっているにも関わらず、増え続ける利益に気分が良くなり、深く考えなくなっていったのです。
当然ですが、相場は永遠に上がり続けるということはありえません。年初から10月まではずっと上がり続けていた豪ドル/円のレートも、11月になると少しずつ下がり始めてきました。しかし、Aさんはそれまで積み上げてきた利益を減らしたくない一心で「まだ大丈夫だ」「また上昇する」と、良い方向に解釈してさらに買い増してしまったのです。そして運命の11月27日、早朝にドバイ恐慌のニュースが慌しく報道されても何も対応できなくなってしまったのです。
★☆★☆★☆★☆★≪Aさんが嵌った落とし穴≫★☆★☆★☆★☆★☆
当日の朝8時過ぎ、Aさんはいつものように電車の中で携帯から為替レートをチェックしていた時にその異変に気づき、恐怖のあまり凍り付いてしまいました。豪ドル/円、ポンド/円、米ドル/円などの全通貨が今まで見たことのないようなスピードで下落していくのです。更新ボタンを押す度にレートが下がり続けていくのを見て、緊張のあまり震え上がってしまいました。大切な自分の資金がわずか数秒で10万、20万、と減っていくのを見ながら過呼吸に陥り携帯を閉じてしまいました。結局、そのままロスカットラインまで下がり自動決済が行われ、Aさんは1日にして100万円近い損失を出してしまったのです。その日も同じように出勤して会社で働かなければならず、誰かに話しかけられてもずっと上の空だったそうです。

投資で一番危険なことはリスクがあることではありません。リスクの避け方、最悪時の対応の仕方を知らないで投資を行うことなのです。特に初心者の方は、投資を行う際にはしっかりとリスクに対する対策を立てて投資を行うようにしてくださいね。