FPコラム【伊藤潤平 第4回】
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【伊藤潤平 第4回】ファンド投資の失敗談
こんにちは、FPの伊藤潤平です。 それではファンド投資の失敗談についてお伝えします。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆≪Bさんの体験談≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
Bさんは投資が好きで株式投資を5年間続けており、 サラリーマンの傍らで休憩中に携帯で株価をチェックしながら 注文を出したりして、それなりの利益を出していました。
利益は出るものの労力的には大変なので、 もっと良い投資方法はないかと情報を集めていた矢先に 香港で運用をしているという投資ファンドを知りました。
その投資ファンドは数ヶ月間配当を順調に出し続けていて 銀行預金よりもはるかに高い利率だったのです。
後から考えてみれば実体を見た訳ではないし、 紹介者であるブローカーも怪しい風貌で 口先だけやたらにうまい感じでした。
しかし、今まで聞いたことのない配当率に目がくらんでしまい、 「このペースでお金が増えたらすごいことになる!」 と意気込み、まとまったお金を投資してしまったのです。
すると翌月から配当が入ってくるようになり、 Bさんの収入はさらに増えていきました。
それが数ヶ月続いて慣れてくると有頂天になり、 「よし、貯金のすべてを投入しよう」 と決心してそのようにしました。
いつしかBさんの配当収入は会社員の給料を超えるようになり、 夢の脱サラが見えてきたと天にも昇るような気分になりました。 そして、余ったお金で夜は高級店を歩き回り、 高いお酒を飲んで豪遊する毎日を過ごすようになったのです。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆≪ファンドの落とし穴≫☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
半年以上経過して紹介してくれた ブローカーの顔も思い出せなくなってきた頃、 先月まで途絶えることなく振り込まれていた配当日に、 預金残高が増えていないことに気づいたのです。
慌ててブローカーの連絡先を取り出し電話をかけてみると、 「現在使われておりません」のコールが聞こえてきました。 運用先は香港でしたが国内に事務所があるので そこも行ってみたものの空室になっていました。
Bさんは何が起きたのか理解できずしばらく放心状態になり、 立ち尽くすことしかできませんでした。
その後、同じように被害にあった投資家から 社長が海外へ逃亡して消息がわからないことを知らされ、 お金もどこにあるかわからないことを伝えられました。
Bさんはよく調べずに怪しげなブローカーを信用して 欲にかられて投資してしまったことを大いに反省しました。
いかがでしょうか。
☆★☆★☆★☆★☆★☆≪始める前に届出チェックを≫☆★☆★☆★☆★☆★☆
よくよく調べてみると、このファンドは金融庁への届出も出しておらず、 トップにいる経営者も過去に詐欺や窃盗の経歴を持つ人物だったのです。
このように「高利回りだったから」 「絶対値上がりしそうな未公開株だったから」など、 営業トークにつられて投資してしまい、 投資詐欺にあうケースは非常に多いです。
もしあなたが投資を始めようとして二つの話が耳に入り、 口先だけうまく人相の悪い社長が高配当を約束してくれる会社と、 長年経営をしている百戦練磨の社長がいる会社と、
投資先としてどちらを選びますか?ファンド投資で重要なことはトップにいる社長が しっかりと会社を運営してくれるかどうかということです。
上場して誰もが知る大手証券会社は別として 小規模なファンドや小組織に投資する際は 信頼性がとてつもなく重要です。
「この会社にお金を預けても大丈夫か」ということを 良く考えてから決めるようにしましょう。