FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第17回】不動産投資の判断基準②~一定の投資期間を基準にした場合~
今回は、「一定の投資期間」を基準にした場合の不動産投資の代表的な指標について見ていくことにします。
「一定の投資期間」を基準に投資判断をする際には、このようなお金の時間的な価値の違いを考える必要があります。具体的には、「将来得られる収益」を「現在の価値」に割り引くといった作業を行います。
例えば、物件価格を2,500万円、不動産からの純営業収益(NOI)を初年度~5年目まで年間160万円、6年目~10年目までを年間140万円とし、11年目に2,200万円で売却したとします。また、投資家が期待する利回りを5%とします。その場合、DCF法による不動産の価値は約2,455万円となります(以下の図表参照)。
「現在の価値が約2,455万円の不動産」を「現在の価値2,400万円のお金」で購入できることになるので、この前提どおりであれば、投資することで利益が得られます。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆≪お金の“現在の価値”≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
例えば、ボーナスとして100万円を「今もらう」のと「1年後にもらう」のとでは、どちらが得でしょうか?「今もらう」方が得となります。100万円を「今もらう」と、それを仮に年率1%で運用できれば、1年後には手元に101万円残ることになります。一方、「1年後にもらう」場合は、100万円のままです。つまり、同じお金でも「現在の価値」と「将来の価値」では異なるということです。「一定の投資期間」を基準に投資判断をする際には、このようなお金の時間的な価値の違いを考える必要があります。具体的には、「将来得られる収益」を「現在の価値」に割り引くといった作業を行います。
★☆★☆★☆★☆★☆≪DCF法を用いて物件価格の妥当性を検証≫★☆★☆★☆★☆★☆
お金の現在価値の考え方をふまえて、不動産の価値を試算する方法をDCF法(ディスカウンテイド・キャッシュフロー・アナリシス法)といいます。DCF法は、簡単に言うと不動産から将来得られる収益(キャッシュフロー)を現在の価値に割り引いて求めた金額の合計が、その不動産の価値であるという考え方です。具体例を交えながら見ていきます。
例えば、物件価格を2,500万円、不動産からの純営業収益(NOI)を初年度~5年目まで年間160万円、6年目~10年目までを年間140万円とし、11年目に2,200万円で売却したとします。また、投資家が期待する利回りを5%とします。その場合、DCF法による不動産の価値は約2,455万円となります(以下の図表参照)。
「現在の価値が約2,455万円の不動産」を「現在の価値2,400万円のお金」で購入できることになるので、この前提どおりであれば、投資することで利益が得られます。
この「投資対象となる不動産等の現在の価値」から「現在の投資額」を差し引いた金額のことを、「正味現在価値(NPV=Net Present Value)」といいます。「NPV」がプラスであれば、投資することで利益が得られることになります。
★☆★☆★☆★☆★☆≪DCF法を用いたシミュレーション例≫★☆★☆★☆★☆★☆
前回触れました「単年度の利回りの考え方」をベースに、上記のような中・長期的なシミュレーションを立てた上で、投資するか否かの判断を行うとよいでしょう。ただし、あくまでシミュレーションなので、絶対的なものではない点にはご注意ください。