FPコラム【氏家祥美 第22回】
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【氏家祥美 第22回】2014年1月スタートのNISAを大分析
2014年1月からいよいよNISA(少額投資非課税制度)がスタートします。私たちの暮らしにどんな影響があるのか、考えてみましょう。
NISAのポイントをまとめてみました。
利用できる人 | 20歳以上の国内居住者 |
利用する口座 | NISA専用口座。ひとり1口座のみ、 最低4年間は金融機関を変えられない |
手続き | 金融機関に住民票などを提出 |
投資期間 | 2014年―2023年までの10年間 |
投資金額 | 100万円/年 |
金融商品 | 国内株、外国株、株式投信、ETF、REIT |
非課税対象 | 譲渡益、運用益、配当金 |
非課税期間 | 投資から最長5年間 |
非課税期間が終わったら | 新たな非課税枠へのロールオーバー、売却、特定口座などへの移管 |
途中売却 | いつでも可能 |
NISAは年間100万円投資ができます。毎年100万円ずつ投資をしていくと、最大で500万円まで投資ができ、その投資から得られた売却益や分配金の税金が非課税になります。
★☆★☆★☆★☆★≪例を見てみよう≫★☆★☆★☆★☆★☆
例えば、投資をして20万円の利益が出た場合、本来ならば利益の20%である4万円が税金として差し引かれるところですが、NISA口座内での利益であれば、税金が0円になります。20万円がまるまる手元に残るのですから、この差は大きいですよね。
日本証券業協会の発表によると、9月時点でのNISAの口座開設見込み数は322万口座。また、10月末時点での大手証券3社(野村・大和・SMBC日興)の3証券会社の合計ですでに全体目標の約半数の165万口座が開設されているということなので、NISAへの期待は相当高いと考えられます。
日本の個人金融資産は約1600兆円。このうち、投資信託が4.5%の72兆円、株式や出資が8.1%の129兆円を占めています(2013年6月末残高 日本銀行発表)。現在は預貯金が860兆円あり、全体の54.1%を占めていますが、国としては預貯金の比率を下げて、投資へとお金を回していきたいと考えています。そのために導入される制度がNISAを言うわけです。
仮に目標通り今年中に322万口座が開設されて、全員が2014年に100万円ずつ投資をしたら、1年間で3兆2200億円が新たに投資口座に回ることになります。これが5年連続で続いたら、16兆円以上になります。そうしたところから、株価が上昇して、ますます投資に人気が高まることも期待できるでしょう。
ただし、そんなNISAにも注意点があります。
注意1.途中で売却をして売却をしてもその枠は復活しない
年初に100万円分を入金して株を購入しても、2か月後に50万円分の株を売却した場合には、残り50万円の運用を続けることになり、年内はふたたび50万円分の再投資をすることができません。そのため、こまめに売買して売却益を得るよりは、じっくり長期投資をしたい人に向いています。
注意2.値下がりしても損益通算できない
保有する株や投資信託が値下がりして損失が出た場合に、他の証券口座で得た配当金や売却益などと損益通算することができません。つまり、NISA口座は利益が出た時のメリットは大きいですが、損が出たときの特典はありません。
注意3.NISA口座が開けるのは1金融機関のみ
4年間は原則口座を移転することができません。口座開設キャンペーンなどもあちこちでやっていますが、開設時メリットだけでなく、取扱商品数や、売買手数料など、これから長期で取引するシーンを思い浮かべながら、口座を選ぶようにしましょう。
4月から消費税の増税も決まり、いままでの「貯める」「節約」だけでは、手取りが減ってしまいかねない2014年。投資の感度も少しずつ高めながら、上手にお金とつきあっていきたいですね。それでは、よいお年をお過ごしください!