FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第30回】借りられるローンと返せるローン
住宅ローンを検討する際、「借りられるローン金額」と「返せるローン金額」は違うという考え方が大切です。
銀行で借りられるローン(貸してくれるローン)は、主に銀行が定めた返済負担率という数値で決まります。返済負担率は年収とローン返済額の比率のことで、「年間ローン返済額÷年収」で計算されます。仮に今、この返済負担率が35%だと仮定します。年収500万円で、返済負担率35%とすると、年間のローン返済額は175万円まで、となります。金利4%(※)、35年返済という条件で借りられるローン金額を計算すると、約3,290万円となります。
※金融機関の審査金利は4%程度と実際の金利よりも高めにするところが多い。
もちろん銀行で借りられるから、といって上記で計算した「借りられる金額」をまるまる借りてしまうのは得策ではありません。借りられるローン金額と、返せるローン金額は違うのです。
返せるローン金額の目安として、上で計算した返済負担率を少し低めの25%や30%に抑えるという考え方があります。年収500万円、金利3%、35年返済、返済負担率25%という条件で計算する(ここでは実際の金利に近い3%という数値で試算)と、返せるローン金額は約2,700万円となります。「借りられるローン金額」よりもだいぶ少なくなることがわかります。
返せるローン金額はまた、現在の家賃から考える方法もあります。現在払っている家賃に、住宅購入後の維持費を差し引いて求めます。維持費は、固定資産税や管理費・修繕積立金(マンションの場合)などが該当します。家賃の他に住宅購入用に積み立てている貯蓄額があればそれもプラスして考えます。
例えば、今の家賃が9万円、住宅購入資金として毎月5万円積み立てていて、購入後の維持費等が毎月3万円必要だとするならば、9+5-3=11万円までのローン返済額までなら大丈夫だろうという考え方です。毎月11万円の返済、金利3%、35年返済であれば、約2,850万円まで、が返せるローン金額、となります。
★☆★☆★☆★☆★☆≪返せるローンの考え方≫★☆★☆★☆★☆★☆
これら「返せる金額」の考え方は確かに1つの目安になりますが、あくまで目安。本来は、例えば子どもの進学による教育費負担の増加、退職による収入減など、ライフイベントに応じた家計の変動を考慮に入れ、もう少し厳密に「返せるローン」を考える必要があります。そのためにはこうしたライフイベントを考慮した将来のキャッシュフロー表を作ってみることが大事です。次回は、キャッシュフロー表から返せる住宅ローン金額を考える方法をまとめます。