FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第34回】相続時精算課税とは
住宅購入時に親から資金援助を受けたい場合、2013年と2014年に関しては、住宅購入資金に関する贈与の特例があり、一定額まで(2013年であれば、一般の住宅なら700万円+110万円=810万円まで、省エネ住宅、耐震住宅の場合は1,200万円+110万円=1,310万円まで)は、贈与税非課税で贈与ができます。
この特例とよく比較されるのが、相続時精算課税という制度。相続時精算課税は65歳以上の親から20歳以上の子や孫への贈与については2,500万円までは非課税で贈与できる代わりに、贈与した親が亡くなったときには、相続財産に贈与した分を加えて相続税を計算するという制度です。
2,500万円までは非課税で贈与ができる(それを超える分の贈与については20%の税率ですむ)という点はメリットですが、相続発生時に相続税の計算をする際には、贈与した分も相続財産に上乗せして計算されてしまうという点には注意が必要です。つまり、相続税の節税にはならない可能性が高いということです。
元々相続税を払う必要がないような方であればそれでも影響はありません。しかし今後相続税の改正が行われると、相続税の基礎控除が下げられることにより、相続税が課税される人の数は増えることが予想されています。父が亡くなり、母と子2人がいる場合、現在は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円までは相続税が非課税なのですが、この非課税枠が改正後は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円まで引き下げられます。それだけ相続税の課税対象者が増えるわけです。
☆★☆≪贈与税についての毎年110万円までの非課税≫★☆★
また、一度この制度を選択した場合、その親からの贈与に関しては、毎年の贈与税の基礎控除(110万円の非課税枠)が使えなくなるというのもデメリットになります。相続税対策をする際には、この「贈与税についての毎年110万円までの非課税枠」をうまく使うことがポイントになるのですが、相続時精算課税を使うとその選択肢は放棄せざるをえなくなります。
したがって、住宅購入の際に住宅購入資金の援助を受ける予定の方は、安易に相続時精算課税を使うのではなく、メリット、デメリットを慎重に検討し考えることをお勧めします。