FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第64回】マンション、アパートを人に貸している場合の土地の相続税評価
◆マンション、アパートを人に貸している場合の土地の相続税評価◆
【山本俊成 第64回】
前回までのコラムで、不動産(土地と建物)の相続税評価について見てきました。
では、マンションやアパートを人に貸して家賃収入を得ている場合の相続税評価はどうなるのでしょうか。まず今回は、土地の相続税評価から、見て行きましょう。
土地の相続税評価は、路線価を基に計算するというのは前回のコラムでも書いた通りです。
マンションやアパートが建っている土地の場合、そこには借り手が住んでいる分、所有者の好き勝手に処分ができません。
そこで相続税評価の際にはその分、土地の評価を低くすることができます。
アパートやマンションが建っている土地(貸家建付地)の評価はだいたい更地評価の8割程度になります。
厳密には更地評価×(1-借地権割合×借家権割合)で計算されます。
「借地権割合」は、路線価に載っています。「借家権割合」は30%と考えてください。
下の路線価で右上の方に「490C」とあります。これはこの道路に面している土地の評価は1㎡490千円(49万円)で評価しなさいということですが、その後ろについている「C」というのが「借地権割合」を表します。
借地権割合の記号は、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%・・・を表しています。多いのはCかDだと思います。今回はCですので70%ということになります。 借地権割合が70%で、借家権割合が30%なら、アパートやマンションが建っている土地の評価は、更地評価額×(1-0.7×0.3)となり、更地の79%の評価ということになります。
借地権割合が60%なら、更地評価額×(1-0.6×0.3)で更地の82%の評価ということです。
計算式を覚えるのは大変ですので、結論として「アパートやマンションが建っている土地の相続税評価は、更地の約8割」と覚えておけばよいでしょう。
アパートやマンション経営を配偶者や子が受け継ぐ場合には、さらに特例により評価額を下げることができます。前回も少し出てきた「小規模宅地の特例」というものです。
アパートやマンション経営を受け継ぐ場合、200㎡までの土地について50%減してよい、となっています。 この場合さらに相続税評価額を下げることができるのです。