FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第65回】マンション、アパートの建物の相続税評価
◆マンション、アパートの建物の相続税評価◆
【山本俊成 第65回】
前回のコラムでは、マンションやアパートの建っている土地の相続税評価について解説をしました。 今回はマンションやアパートの建物についての相続税評価についてまとめます。
建物については、マイホームやその他の建物と同じなのですが、固定資産税評価額で評価します。 建物の固定資産税評価額は建築価格の5割~7割程度の評価になることが多いです。 鉄筋コンクリート造りのマンションなどでは7割程度、木造のアパートなどでは5割程度になることが多いでしょうか。
現金で5,000万円持っておくと相続税評価額は5,000万円ですが、5,000万円の現金を使って建物を建てると、仮に固定資産税評価額が建築価格の50%だと仮定すれば相続税評価額は2,500万円になるということです。
さらに、マンションやアパートの場合、やはり借り手が住んでいる分、所有者の好き勝手に処分ができません。そこで相続税評価の際にはその分評価を低くすることができます。
借りている人に30%の借家権があるということになっており、アパートやマンションの場合、建物の本来の評価額からこの30%分を減額できるのです。
つまり、アパートやマンションの建物の評価は、固定資産税評価額×70%ということですから、建築価格×50%~70%のさらに70%の評価になるということです。
固定資産税評価額が建築価格の50%だとすると、5,000万円使ってアパートを建てると、相続税評価額は5,000万円×50%×70%=1,750万円になるということです。
1億円の現金があるとして、それを現金のまま所有して相続が発生すると相続税評価は1億円のままです。1億円のうち5,000万円で土地を買い、5,000万円でアパートを建てたとします。建物については上で見たように1,750万円の評価となります。
土地の相続税評価は路線価をベースに計算しますが、仮に更地の相続税評価が4,000万円だったとすると、アパートを建てることにより約8割になりますので、3,200万円ということになります(小規模宅地の特例は、今回は考慮しないこととします)。
あわせると、4,950万円となりますので、現金で持っておいた時の約半分の評価になります。
現金で持っているより、アパートを建てた方が相続税対策になる、とよく言われますが、それは上記のような理由によるのです。