FPコラム
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【山本俊成 第66回】賃貸併用住宅の相続税評価
◆賃貸併用住宅の相続税評価◆【山本俊成 第66回】◆
今までのコラムで、マイホームについての相続税評価や、マンションやアパートの相続税評価について解説してきました。 今回は「マイホーム」と「アパート」の両方の特徴を持つ、賃貸併用住宅の相続税評価について解説します。
賃貸併用住宅とは、1つの建物にオーナーの居住部分(マイホーム)と、賃貸部分とが存在する建物のことです。
相続税評価を行う際には、マイホームの部分と賃貸部分(アパート部分)とに分けて考えます。
土地の面積が200㎡で、建物はちょうど半分がオーナーのマイホーム部分、残り半分が賃貸部分だと仮定します。
マイホーム部分は同居している子どもが引き続き居住し、賃貸部分も子どもが引き続き所有し賃貸経営に携わるとします。
土地の相続税評価ですが、まず路線価を基に計算をします。
路線価を基にした評価額をここでは8,000万円としましょう。
建物のマイホーム部分がちょうど半分なので、土地も半分がマイホーム部分、半分が賃貸部分とみなします。
8,000万円の半分4,000万円がマイホーム分、残り4,000万円分が賃貸部分の土地であるということです。
マイホームの土地の場合、条件によっては小規模宅地の特例が使えます。 同居している子どもが引き続き居住する場合、この特例が使え、評価は80%減できますので、4,000万円×20%=800万円がマイホーム部分についての土地の評価となります。
賃貸部分は、借地権割合70%、借家権割合を30%とすると4,000万円×(1-70%×30%)=3,160万円となります。賃貸についての小規模宅地の特例を使えるとすると、3,160万円×50%=1,580万円となります。
小規模宅地の特例は「マイホームが建っている土地の場合」「賃貸物件の敷地の場合」の両方に使えますが、それぞれ限度面積が決まっています。
そこで小規模宅地の特例が使える面積の調整をするために、以下のような計算を行います。
A:マイホーム用の宅地面積 B:賃貸用の宅地面積 とします。
2014年12月末までは A×5/3+B×2≦400㎡
2015年1月以降は A×200/330+C≦200㎡
今回の例の場合は上記式に当てはめると、2014年12月末までも2015年1月以降も、宅地部分、賃貸部分とも全ての面積で小規模宅地の特例は使えます。
結局、土地についての評価は、800万円+1,580万円=2,380万円となります。
建物の相続税評価額についてはマイホーム部分は 固定資産税評価額、賃貸部分は固定資産税評価額×(1-借家権割合) で計算します。 建物の固定資産税評価額が4,000万円だとすると、 マイホーム部分は2,000万円、賃貸部分は2,000万円×(1-0.3)=1,400万円となります。