FPコラム
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【山本俊成 第67回】二世帯住宅の相続問題
◆二世帯住宅の相続問題◆【山本俊成 第67回】◆
二世帯住宅は相続税対策になる、ということを以前のコラムで解説しました。
子どもが親の実家とは別に土地を購入し家を建てた場合、親が亡くなった後、親の土地を子が相続しても小規模宅地の特例は原則として使えないのに対し、
親が所有する土地の上に二世帯住宅を建て、その親の土地を子が相続する場合には小規模宅地の特例が使え、評価は80%減できます(2015年1月1日以降の相続では330㎡まで、2014年12月末までの相続の場合には240㎡まで)。
更地評価で5,000万円の土地であれば、二世帯住宅を建て、そこに住む子が親の土地を相続することで、5,000万円×(1-80%)=1,000万円という評価になるということです。
このように相続税対策には二世帯住宅は向くわけですが、一方で相続時に争いになる可能性もあるという点にも注意を向けておく必要があります。
子どもが1人であれば相続で争いが起きることもないかと思いますが、子ども2人以上いる場合には注意が必要です。
例えば二世帯住宅に親世代と兄夫婦が住んでいる場合を考えます。
親が亡くなった後、土地を兄弟で1/2ずつ相続し、親が住んでいた部分に弟が住む、ということも考えられます。
この場合、土地の処分をめぐり、兄弟間で争いが起きる可能性がゼロではないということに注意が必要です。
相続発生直後は特に問題にならないかもしれませんが、様々な事情で兄弟のどちらかが土地を売りたくなるということは十分に考えられます。 また、兄弟同士では争いが起きなくても、その子世代、孫世代へと相続させていく中で争いが起きぬとも限りません。
親が亡くなった後、兄弟のうち兄だけが土地を相続する、という選択をした場合はどうでしょうか。 この場合は、弟に何か別の資産を相続させないと兄弟間で不公平になります。
親を被保険者とした生命保険に入って受取人を弟にする、弟には収益不動産を相続させるなど、不公平にならないような対策を事前に検討しておくことが必要です。
このように、二世帯住宅には相続争いになる危険性があります。
二世帯住宅を建てる際にはあらかじめ、相続で争いが起きないように将来の相続プランも考えておくことが大切です。