FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第70回】円安のメリット、デメリット
円安のメリット、デメリット
前回は円高、円安について解説しました。株価のニュースを見ていると、円安が進んだので日本の株価も上昇した、というようなことが語られることも多いです。円安は日本経済にとってプラスになるという見方をする人が多いですが、それは何故なのでしょうか。
■ 円安になると輸出企業は儲かる
円安になると、輸出企業にとってはプラスです。自動車会社A社は、日本で車を作り、アメリカに輸出しアメリカでは10,000ドルで販売しているとしましょう。1ドル=100円だとすると、1台売れると、10,000ドル×100円=1,000,000円の売上になります。
1ドル=200円まで円安になったとします。
アメリカでは10,000ドルで販売しているのは変わりないとすると、日本円に換算した場合、1台売れると、10,000ドル×200円=2,000,000円の売上になります。
このように、アメリカでは同じ価格で販売していても円安になることで、日本円で見た売上は増えるので、円安になると輸出をしている企業にはプラスになります。
日本の大企業には輸出で稼ぐ企業も多いので、円安になると日本経済全体にとってプラスになる、と考えられています。そのため円安になると、日経平均等、日本の株価も上昇する傾向にあります。
※円安時に株価が上昇するということの理由には、世界的に株価が上がって儲かった投資家が増えると、リスク許容度が増すので、さらに投資を増やそうとし、その際金利の低い円を借りることで資金調達をしてそれを基に投資を行うため円が売られる、という理由もあります。
■ 円安のデメリット
円安は日本経済にプラスという面もありますが、海外から輸入をしている企業にとってはマイナスになります。
500ドルの原料を輸入するのに、1ドル=100円だとすると、500ドル×100円=50,000円の日本円が必要です。円安になって1ドル=200円になると、500ドル×200円=100,000円の日本円が必要になります。
原料費が増えてしまう分、利益を圧迫してしまいます。原料や製品を輸入している企業にとっては、円安はマイナスです。
個人の観点で見ても、円安はマイナスになります。円安になるということは、上の輸入企業の例と同様に、ガソリンや小麦粉など海外から輸入している製品の価格が上がってしまうことを意味するからです。
円安は、今のところ日本経済にとってプラスと考える人も多いですが、マイナスの面もあるということは覚えておきたいですね。