FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第71回】円高のメリット、デメリット
円高のメリット、デメリット
前回は円安のメリット、デメリットを解説しました。
今回は円高になるとどんなメリット、デメリットがあるのかをまとめます。
■ 円高になると輸入品の価格が下がる
円高になると、私たち個人にとってはプラスの面が大きいと言えます。
円高になるということは、輸入品の価格が下がるということだからです。海外で500ドルで売られているものを、私たちが買う場合1ドル=100円であれば500ドル×100円=50,000円を支払う必要があります。これがもし1ドル=50円まで円高が進めば、500ドル×50円=25,000円の支払いですみます。
ガソリンなどの原料を輸入する企業や、海外で作られた製品を輸入して日本で販売しているような企業にとっても同じ理由で円高はプラスになります。
私たちが海外旅行をする場合にも円高は有利になります。
海外で1泊400ドルのホテルに宿泊するとしましょう。
1ドル=100円であれば400ドル×100円=40,000円相当の支払いとなりますが、1ドル=50円になれば、400ドル×50円=20,000円相当の支払いですみます。
1泊400ドルというとなかなか豪華なホテルのはずで、今なら日本円で4万円必要ですが、もし1ドル=50円まで円高になれば2万円だけ出せばそのような豪華なホテルに宿泊できるということになります。
海外企業の株や、海外の不動産を購入する場合など、海外投資を行う際にも円高は有利に働きます。
例えば100,000ドルの海外不動産を購入する場合、1ドル=100円であれば100,000ドル×100円=10,000,000円必要ですが、1ドル=50円になれば、100,000ドル×50円=5,000,000円でその不動産を買えるわけです。
■ 円高は輸出企業にとってはマイナス
一方、円高は輸出企業にとってはマイナスです。
前回、円安のメリットで紹介した輸出企業の事例と反対のことが起きます。
自動車会社A社は、日本で作った車をアメリカに輸出し、アメリカでは10,000ドルで販売しているとします。1ドル=100円だとすると、1台売れると、10,000ドル×100円=1,000,000円の売上になります。1ドル=50円まで円高になると、1台売れても10,000ドル×50円=500,000円の売上にしかなりません。
日本で製品を作り、海外に輸出をする場合、上で見たように円高はデメリットになります。
ここ数十年という単位で大きく見ると、円は円高になっています。
そのため大手輸出企業も最近では為替の悪影響を受けないように、日本ではなく、現地(例えばアメリカ)で生産し、現地で売る、というような対策を取っているところも増えてきました。
昔よりは為替によるマイナスは受けないよう、企業も工夫しているということですね。