FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第81回】投資信託の換金の際に発生する税金について
ここ数回のコラムでは、投資信託について解説しています。今回は投資信託で利益が出た際の税金についてまとめます。
投資信託から生じる利益には、定期的に投資家に分配される「分配金」と、換金をした際の「譲渡益」の2種類があります。これらの利益にはそれぞれ税金がかかります。また税金の取り扱いは「株式投資信託」と「公社債投資信託」とで異なってきます。ただし引かれる税率は今のところ20.315%と同じです。まず今回のコラムでは、投資信託を換金した場合の税金を考えます。
■ 投資信託を換金する際、利益がある場合に発生する税金
例えば投資信託に100万円を投資して、3年後に150万円になって換金した場合、50万円の利益が出ています。この50万円の利益には税金がかかります。2014年現在の税率は20.315%です(0.315%分は復興特別所得税)。たまに解約金額の150万円に20.315%の税金がかかると思っている人がいますが、税金は利益にしかかかりませんので、この例の場合50万円の利益に税金がかかってきます。また税金は「確定した利益」にかかります。途中で含み益が出ていても、確定はしていない限り税金はかかりません。あくまで換金した時に利益が出ていればその金額に税金がかかる、ということになります。
さて、投資信託は大きく分けて、「株式投資信託」と「公社債投資信託」との2つがあります。それぞれの利益にかかる税率は、現在では20.315%で同じです(以前は株式投資信託と公社債投資信託とで税率が違いました)。
「公社債投資信託」の場合、解約、もしくは償還すると利子所得として20.315%が課税されます。譲渡の場合は非課税となりますが譲渡益から20.315%の特別控除額が差し引かれるため、結局受けとる手取り金額はどちらも同じになります。なおいずれの場合も税金は源泉徴収されるので、確定申告の必要はありません。
「株式投資信託」の場合は、譲渡所得として20.315%が課税されます。原則として確定申告が必要ですが、証券会社が税金を代行して納めてくれる「源泉徴収ありの特定口座」を利用する場合は申告不要です。
※「株式投資信託」と「公社債投資信託」について 「株式投資信託」は主に株式を投資対象としている投資信託で、「公社債投資信託」は主に公社債を投資対象としている投資信託です。厳密には「株式に全く投資しない仕組みになっている」投資信託のことを「公社債投資信託」と言います。極端な話、株式に1%、公社債に99%投資するような場合でも、その投資信託は「公社債投資信託」ではなく「株式投資信託」とみなされるということです。
次回は、投資信託の分配金についての税金についてまとめます。