FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第82回】投資信託の換金の際に発生する税金について②
投資信託の分配金に関する税金について②
ここ数回のコラムでは、投資信託について解説しています。
今回は前回に引き続き、投資信託で利益が出た際の税金についてまとめます。
投資信託から生じる利益には、定期的に投資家に分配される「分配金」と、換金をした際の「譲渡益」の2種類があります。
前回は換金をした際の利益についての税金をまとめました。
今回は「分配金」についての税金をまとめます。
■投資信託の分配金についての税金
投資信託の多くは定期的に分配金を出すものが多いです。分配金を1年に1回出すものもありますし、分配金を2ヶ月に1回出すもの、毎月分配金を出すものもあります。
投資家に人気なのは毎月分配金を出す投資信託です。
この分配金には税金がかかります。決算日の基準価額(投資信託1口の価格)が投資家の「個別元本」(購入したときの価額、複数回購入していればその平均値、から、分配金が既に分配されている場合はその分を引いた価額)を上回っていれば課税されます。
「個別元本」は投資家それぞれで異なる(購入時期等で異なる)ため、同じ金額の分配金を受け取る場合でも、Aさんの税額とBさんの税額が異なったり、Cさんは課税されるのにDさんは課税されなかったり、という場合があります。
投資信託の分配金は大きく2つに分けることができます。「普通分配金」と「特別分配金」の2種類です。
「普通分配金」とは、分配金を支払った後の基準価額(投資信託1口の価格)が、個別元本を上回った時に支払われる分配金のことを言います。
つまり、その分配金は投資家にとって丸まる利益にあたるので課税対象ということです。
一方「特別分配金」は課税されません。
分配金を支払った後の基準価額(投資信託1口の価格)が、個別元本(購入したときの価額)を下回る場合、個別元本を下回る部分のことを「特別分配金」 と言いますが、この「特別分配金」は投資家にとって元本の一部が払い戻されたにすぎないため、「特別分配金」には税金はかからないということです。
投資信託の分配金にかかる税金は、公社債投資信託の場合は利子所得として、株式投資信託の場合は配当所得として20.315%(復興特別所得税を含む)がかかります。
この税率は前回見た譲渡益と同じです。
投資信託の利益にかかる税金は20.315%と覚えておけばいいでしょう。
なお分配金の税金は受け取る時にあらかじめ源泉徴収されているので、原則、確定申告は不要です。