FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第83回】株式投資信託の損益通算について
株式投資信託の損益通算について
ここ数回のコラムでは、投資信託について解説しています。
前々回、前回と投資信託で利益が出た場合の税金について見てきました。
今回は、投資信託の中でも「株式投資信託」の利益の「損益通算」について解説します。
■「株式投資信託」の利益は、他の株式投資信託や上場株式の損と相殺できる
「株式投資信託」の利益は、原則として20.315%が課税されます。
しかし、他の株式投資信託や株式投資で損が出ている場合には、その損失と利益を相殺できます(「損益通算」と言います)。
株式投資信託を換金した際の利益は、他の株式投資信託を換金した際の損失を通算できますし、投資信託同士だけでなく、株式投資の利益(損失)と、株式投資信託を換金した際の損失(利益)との通算も可能です。また、株式投資信託の配当金(普通分配金)と、株式投資信託や株式投資の損とを通算することも可能です。
これらの損益通算をするには原則として確定申告が必要ですが、同じ特定口座内(源泉徴収あり)で投資をしているのであれば、自動的に損益通算が行われ、確定申告は不要になり、便利です。
換金の取引ごとに、年初からの損益を計算し、利益が出ている場合には源泉徴収を行い、損失が出た場合にはすでに徴収した税額から還付が行われるようになっています。
ここで以下のような取引を考えます(源泉徴収ありの特定口座での取引とします)。
例えばまず株式投資信託Aを換金した際に20万円の利益が出ました。税率は20.315%なので、40,630円の税金が引かれているはずです。
その後、他の株式投資信託Bを換金したところ損失が8万円出ました。
この場合、最初の利益20万円から、今回の損失8万円を差し引いた12万円分の利益についてのみ税金を払えばいいことになります。
本来納めるべき税額は、12万円×20.315%=24,378円となり、最初に納めた40,630円のうち、16,252円(40,630-24,378)分が戻ってくるということになるわけです。
なお、特定口座ではない一般口座の場合や、特定口座でも「源泉徴収なし」を選択している場合、他の銀行や証券会社の口座の損益と通算する場合には確定申告が必要になります。