FPコラム
ファイナンシャルプランナーによる金融商品に関するコラムです。
【山本俊成 第84回】株式投資信託の損失の繰越控除について
株式投資信託の損失の繰越控除について
ここ数回のコラムでは投資信託で利益が出た場合の税金について解説しています。
前回は投資信託の中でも「株式投資信託」の利益の「損益通算」についてまとめましたが、今回はそれに関連して損失の繰越控除についてまとめます。
株式投資信託の解約・償還による譲渡損は、翌年以後3年間の繰越控除が可能です。
■「株式投資信託」の損失は、翌年以降3年間、株式投資信託の利益と損益通算ができる
前回のコラムで見たように「株式投資信託」の損益は通算することが可能です。
今回は損益通算してもまだ損失が残っている場合の話です。
この場合、確定申告を行うことで、その年の譲渡益から控除しきれない損失金額を、翌年以降3年間、株式投資信託の解約・償還による譲渡益や普通分配金、上場株式の譲渡益や配当と損益通算ができるのです(繰越控除と言います)。
例えば、2014年に株式投資信託で300万円の損失を出し、確定申告をして翌年以降3年間繰越をすることにしました。翌2015年、株式投資信託(や上場株式)の分配金や譲渡益の合計が100万円だったとすると、この100万円の利益と繰り越した300万円の損とを損益通算でき、2015年の「株式投資信託」についての税金はゼロにすることができます。
まだ200万円分の損失が繰り越されていますので、その翌年(2016年)の株式投資信託(や上場株式)の分配金や譲渡益の合計が50万円だとすると、同様に税金をゼロにすることができます。さらにまだ150万円分の損失が繰り越されていますので、その翌年(2017年)の利益が80万円だとすれば、その分も税金をゼロにすることができます。
なお、80-150=70万円分の損失がまだ残っていますが、3年が過ぎましたので翌年以降にはこの損失を繰り越すことはできません。
この繰越控除を使うには、毎年確定申告が必要ですが、もし「株式投資信託」(や上場株式)のやり取りで損を出している場合には使いたい制度です。
投資信託や株式投資をしている人はぜひ覚えておきたいですね。