不動産投資失敗事例 (その6)
不動産投資失敗事例 (その6) |
中古の築浅ワンルームマンションを3戸購入して、収支はプラスですが、そこから収入を増やそうとしても、なかなか実現できないという相談です。
どうして収入を増やせないのかは、不動産投資市場を誰が作っているのかが分かれば答えは出てきます。第1章でも述べましたが、不動産投資市場を形成しているのは不動産会社ではありません。もちろん、個人の投資家でもないのです。答えは不動産投資ローンを融資している金融機関です。不動産を購入する場合、現金で買う人はほとんどいません。金融機関のローンによって買える物件がある程度決められてしまうのです。
つまり、銀行がどのような融資条件で融資をしてくれるかで、ある程度市場が決まってしまいます。築浅の中古ワンルームマンションの場合、多くの金融機関で年収の8倍程度が融資額の限度になります。例えば、年収600万円の方でしたら、4800万円までが限度となります。すると、都心の築浅中古ワンルームマンションを所有する場合には、ほとんどの方が2戸~3戸しか持てません。リスクは少ないですが、そこで頭打ちです。それがワンルームマンションの最大のネックといえるでしょう。
ちなみにアパートの市場を作っているのもアパートに融資する金融機関になります。ワンルームマンションの場合は年収の8倍ですが、アパートの場合は年収の10倍程度が融資の目安になっています。さらに金利が高い場合には、年収の20倍まで融資してくれる銀行もあります。融資を受ける際に重要なポイントが、購入する不動産に価値があり、担保として適しているかどうかです。そういった観点から、金融機関は融資のラインを決めております。いずれにしても、不動産投資は金融機関のローンを使うわけですから金融機関のスタンスで決まってしまうのです。
先ほど、不動産投資の一番のメリットはレバレッジというお話をさせていただきました。レバレッジ効果が一番効率良く発揮できるのは、頭金が2割以下の場合です。つまり、運用できる資金がたくさんある方は、多くのローンが組めることでレバレッジの効果が最大限に発揮されるということです。分かりやすく説明すると、年収が500万円で8倍までローンを組むと融資額の上限は4000万円ということになります。レバレッジの効果を最大限に発揮するために頭金を20%とし、残りの80%をローンで組んだ場合、運用できる資金額は800万円です。つまり、800万円までしか効果的に運用できないことになります。もし、ROIが10%で運用できたとすると、年間の収入は80万円。それの12ヵ月で割ると1ヵ月に6万6000円の収入となるわけですが、オーナー様が目標にしているサラリーマン並みの年収を達成するには、ここがスタート地点では、達成するまでに時間がかかりすぎます。
もし仮に16倍までローンが組めれば、1600万円を効果的に運用できます。レバレッジ効果を最大限に活用しオーナー様の目標を達成するためには、頭金を効率的に活用するためにもなるべく多くの金額を借りられることがポイントになってきます。
築浅中古ワンルームマンションのメリットは入居率の高さです。どんな賃貸管理会社で入居率が悪くても、95%以上はあります。これは築浅中古ワンルームマンション投資の最大のメリットでもあるのですが、どうしてこのような結果になるのかと言いますと、それは貸し手である金融機関が融資する物件のエリアを制限しているからです。
端的に言うと融資をする物件のエリアを選別することで高い入居率をコントロールしています。東京23区と横浜、川崎エリアは、過去の実績を含めて高い入居率を示しているので、金融機関としても安心できるエリアになっているのです。このようなエリアはリスクが少ないため、融資は受けやすいのですが、収益が低いのが問題です。それを不動産投資のテクニックであるレバレッジを使って、高い収益性を確保していくことが大切になります。
中古ワンルームマンションの最大のデメリットは前述したようにローン総額が多く組めない点です。そのため運用する金額が制限されてしまいます。結果として収支はプラスになりますが、スケールメリットが生かせないのです。
一般に年収の8倍の運用額では、スケールメリットを効かせづらいです。
この難題を乗り越えるためには、さまざまな工夫をして不動産投資の運用額を伸ばす必要があります。