不動産投資 失敗事例 (その9)
失敗事例 ~その9~ |
一棟物件を3棟お持ちで、その後に和不動産で区分ワンルームマンションを2戸ご購入いただいたオーナー様のご相談事例をご紹介します。
そのオーナー様は、不動産投資を始められて2回確定申告を実施しているのですが、当初の計画では、年間400万円ほどプラスの収入が入る予定でした。
しかし、蓋をあけてみれば2年とも赤字のまま確定申告という結果になり、一棟物件の運用に困っていらっしゃいました。オーナー様はマイナスになった主な原因をこのように考えられていました。
「一番の原因は不動産取得税の支払いが多かったことだと思います。次いで火災保険が高かったことです。このふたつの費用について、購入時期に全く予想していませんでした。こうした費用がかさんだことが赤字の原因です。さらに、空室を埋めるための広告費も予想外でした。1月から3月という繁忙期にまとめて空室になり、長い場合は入居までに4カ月という期間がかかりました。空室時に広告費がかかると家賃は入ってこないのに支払いは増えるので大変です」
このように一棟物件のメリットは収益が大きいところではあるのですが、デメリットとして支出も大きいところなのです。
このオーナー様がお持ちの一棟マンションは、首都圏にある2億円前後のマンションで総戸数は19戸です。満室想定利回りでうまく回れば、大きな収益を得ることができます。
しかしながら、最近の市場をチェックすると、一棟RC造物件の利回りは、多くて10%超で、少ない場合は6%以下の物件も見られます。10%の利回りの物件でも、実際の手取りを計算すると、1%以下になることも珍しくないのです。
物件情報の利回りについては、あくまでも満室だったときの利回りということを見逃しがちです。しかも、原状回復費用・修繕積立金等の修繕費や固定資産税などの税金や賃貸斡旋などの広告料等の不確定費用の金額は計上されないまま出された数字なのです。
ある程度運用の規模が大きくなると所有する物件の戸数が増えるため、原状回復費用や空室時のローンの支払いなどがまとまってしまい、一度に多額のお金が出て行く可能性があるということです。
一般的に賃貸物件の出入りが多い時期は毎年1月~3月で、この時期に退去が重なります。入居者が退去すると必ず原状回復が必要になり、合わせて入居者募集の際の広告費(通常は家賃の1カ月分)、空室時のローン支払いが、空室になった部屋の分だけかかります。
このオーナー様の場合は、原状回復費用と不動産屋に支払う広告費がこの時期にトータル200万円程度かかりました。
不動産投資は、運用の規模が大きいと何かあった場合の支出も大きくなりがちです。
しかも、一棟所有の場合は、すべて自分で管理しないといけません。例えば、エレベーターを新規で設置するとなると1000万円程度のコストがかかり、故障した場合の費用も莫大になります。
故障などのアクシデントはいつ起こるか誰にも予測がつかないものなので、一棟物件のオーナーにとって一番の心配事となり、いざという時の費用を準備しておく必要があります。