失敗事例 番外編(その1)
オーナー様がしがちな勘違い(失敗事例番外編 その1) |
よくありがちなのは、1棟物件で戸数がたくさんある方が投資効率は良いと思っていることです。 例えば同じ月30万円の家賃収入を目指した場合に、アパート1棟6部屋で戸当たり5万円の家賃を取るケースと、区分マンションを3戸購入してそれぞれ10万円の家賃を取るケースを比べたときにどちらが得でしょうか?
結論はマンション3戸の方が設備投資という面でお得です。なぜなら、エアコンや給湯器はいずれ交換しなければならないからです。
家賃総額が同じでも、設備維持費の負担額によってはどちらが得か変わってきます。
さらに1部屋あたりのコストの差は他にもあります。例えば原状回復に20万円がかかったとします。
敷金しか取れない場合、家賃が3万円だと、自己負担金は17万円となり、それを回収するのに5・6ヵ月(17万円÷3万円)かかります。
一方、家賃が9万円のケースだと、自己負担金は11万円となり1・2ヵ月(11万円÷9万円)で回収できます。
修繕費や建材費・工事費などは、家賃に関わらず、かかる費用は物件の戸数によります。原状回復費用は、基本的にどの建物でも同じです。物件価格が高くても安くても、原状回復費と修繕費は変わりません。
壁紙や清掃費、修繕費はどこも大差はありません。
以前、月額の家賃が3万円の部屋を持っているオーナー様が、原状回復費用で約50万円請求されたことがあります。 2年毎にこの原状回復費用を払ってしまうと、手元に残る家賃収入もわずかになってしまいます。1部屋あたりの賃料が安い物件のデメリットはここにあります。
また、戸数が増えると原状回復の機会そのものが増えます。1部屋当たりの家賃が高いということは、手間がかからないことだけでなく、コスト面で考えても優秀な物件といえます。
そのような理由で、新築アパートの収支は30%下落することをあらかじめ見込んでおくことです。 満室想定でプランが上手くいくことは当たり前ですが、満室想定家賃の70%に設定しても収支が回るようなプランでないと長期間の収益は見込めません。
それでは、家賃収入が当初に比べて7割の水準にダウンしても大丈夫にするためには、どうしたらいいのでしょうか?スタート時に頭金を多く入れる、早期に繰上返済を行うことが基本になります。 損益分岐点を7割の収入ぐらいまで落とすのです。信託銀行や地方銀行が評価の7割程度までしか融資しないのにはそのような理由もあります。
もちろん、時間が経過しても収支がマイナスにならない物件を選ぶことが重要になってきます。 具体的には家賃の下がりが鈍く、空室率が低い物件(都心の築浅中古ワンルームマンション)への投資は比較的プランが安定します。 なぜなら、入居率が長期間95%を超え、家賃の下落率も10%以下に抑えられるのが都心の中古築浅ワンルームマンションの大きなメリットだからです。
しかし、オーナー様が良く勘違いをするのは、リスク想定値の甘い利回りに惹かれ1棟物件がいいと思っていることです。 とくに手持ち資金が少ない方は、家賃の下落率と空室率の高いアパート1棟経営は負担が高いことは覚えておきましょう。 1棟物件は、収支が悪化しても十分に耐えられる資金と覚悟が必要なのです。